緊張は「消す」ものではありません
心臓が速くなる・手が冷える・声がふるえる。これは体が本気を出す準備をしている反応で、止めようとするほど「止まらない」ことに注意が向きます。消そうとせず、行き先を変えるほうがうまくいきます。
「落ち着け」より「よし、来た」のほうが役に立ちます。同じ体の反応でも、危険の合図と受け取るか、準備が整った合図と受け取るかで、そのあとの動きが変わります。心拍が上がっているのは、体が助けようとしているからです。
場面ごとに、やることを分けます
| いつ | すること |
|---|---|
| 前日〜当日の朝 | 原稿を読み返すより、最初の1文だけを声に出して覚える。出だしが決まっていると、体が動き出します |
| 始まる10分前 | ボックス呼吸(4-4-4-4)を1分。歩けるなら少し歩く。座りっぱなしより体が落ち着きます |
| 直前 | 肩をすくめてストンと落とすを2回。手のひらを開いて、指の力を抜く |
| 話しはじめ | 最初の1文をゆっくり。速さは最初の10秒で決まり、あとはそのままの速さで進みます |
| 終わったあと | 反省より先に、できたことを1つだけ言葉にする。次の緊張の大きさが変わります |
手・声・視線
- 手が震えるとき…紙を持つと震えが目立ちます。机に置くか、ペンを持たずに手を軽く重ねます。
- 声がふるえるとき…息が足りていないことが多いので、1文を短く切って、切れ目でひと息入れます。長い1文が続くほど苦しくなります。
- 目のやり場…全員を見る必要はありません。うなずいてくれる人をひとり見つけて、そこと、少し離れた壁のあたりを行き来します。
- 口が渇くとき…水を一口。無ければ舌を上あごに軽く当てて数秒置くと、少し戻ります。
やらないほうがよいこと
- 直前に原稿を全部読み返す…読み切れず、かえって焦ります。見るのは最初の1文だけで足ります。
- 「緊張しないように」と自分に言う…緊張という言葉に注意が向きます。やることのほうを言葉にしてください(「ゆっくり話す」など)。
- カフェインを多めに取る…心拍が上がっているところに重ねると、震えが強く出ることがあります。
- 深く吸い込む深呼吸をくり返す…吸ってばかりだと苦しくなります。吐くほうを長くしてください。
それでもつらいとき
人前に出る場面を避けるようになった、動悸やめまいで日常に支障が出ている、というときは、気持ちの持ちようの問題ではありません。医療機関にご相談ください。ここに書いたのは、その場をやり過ごすための工夫です。